『パビリオン山椒魚』

パビリオン山椒魚』 監督:冨永昌敬 出演:オダギリジョー 香椎由宇 光石研


面白かったわけではないけど*1、いいなと思う部分はあった。俺はもちろん男で、女のことは全然知らないけど、この香椎由宇演じる女の子の感じがすごい「ああー」ってなった。

「本物とか、偽者とか、どっちでもいいの。」

それは山椒魚のことだけではもちろんなくて。彼女の周りのすべての人間は「確定」を求めてるんだけど、彼女だけは、「確定」してしまうと離れていってしまう場所にずっと居たいと思ってる。その場所を心地よく感じている。ウソかもしれない、ホントともしれない、そのちょっと前、そんなモラトリアムのような場所で、誰かに見守られ続けたい(なんとまあ)。オダギリジョーとの関係も、彼女にとってちょうど良い距離に突き放してるんだよね。あれ以上近づくと「確定」になってしまうと。
でもそれって一時的なもので、というかちゃんと期間があるもので、周りの人間からしてみると気紛れかってぐらいに、あるとき唐突に「確定」してしまう。この映画の世界は、彼女を中心に回ってて、だから物語がいっこうに「真実」=「確定」に向かわないし、すべての人間が彼女の周りで右往左往してるだけの印象になってる。で、この映画の終わりが、彼女の唐突な「確定」とシンクロしてると思うのは俺の気のせいなのだろうか。
親とかそんな気持ちさっぱり理解できなくて「もう、何なのこの子は!」って感じの女の子。でも「確定」したらソッコー母親に似る感じの。

*1:ただ、微妙にきもい映画。香椎由宇に体操着着させたいし、「きもちわるいけど、かっこいいよ」と言わせたいっていう。そりゃ香椎由宇に「きもちわるいけど、かっこいいよ」って言われたいけども。こっちが恥ずかしいわ!