『007/カジノ・ロワイヤル』


007/カジノ・ロワイヤル』 監督:マーティン・キャンベル

“蛇とマングース”のシーンからはじまる、追いかけっこアクション。なんかボンドが、ターミネーターのような殺人サイボーグにみえる。怖えーよ、ボンド。重機に乗ってバリバリ突進する時の、あのボンドの顔を見たか!ダニエル・クレイグのやろう、ふいに『ターミネーター2』の敵みたいな冷酷な表情をみせやがるゼ。

でもそんな中に、トムとジェリー的な“可笑しみ”もあるところが、スゲーいい。一方は、壁にあいた穴をくぐり抜け、一方は、お構いなしに壁を突き破る(まんまトムとジェリー?)。無駄に鉄骨に登ったり、無駄にアクロバットを決めたり。スリリングで、かつ“ファニー”。そんなアクションがめちゃめちゃ楽しい。あの追いかけっこは何気に傑作なんじゃないだろか。

そしてそんな“ファニー”度は、話が進むにつれ、主人公が007として成長していくにつれ、増していく。実は、その辺がこの映画のキモなんじゃないかな?と思ってしまうぐらい、そんなボンドに惹かれていった。その後のボンドときたら、やたらめったら尾行がバレるのだ。お約束のギャグかのように、尾行がバレる。無駄にバレる。あぁ。メインのカジノなんて、わざと負けたのかなと思ってたら、マジ負けだったよ!本気の負け。頑張った末の負け。ああ。毒盛られてからの展開なんかも、とってもおちゃめだ。もちろんあの拷問もおちゃめ過ぎる。

そんで最後は、また冷酷なボンドが戻ってくる。というか新たに誕生する。「殺人サイボーグのチンピラ」が、「殺人サイボーグの紳士」になった瞬間である。


その他あれこれ。

  • 敵役のマッツ・ミケルセンも、スゲーおちゃめでいい。“汗だく”拷問プレイは、彼の悲壮感ともあいまって、すごく素敵な雰囲気を出しているんだ。
  • おっと、飛行機爆破のところを忘れてた。あすこもいい。敵が吹っ飛んだときのボンドの顔がいいね。