『The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day』
The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜
- 作者: 乙一,荒木飛呂彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/11/26
- メディア: 単行本
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『The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day』 作者:乙一 原作:荒木飛呂彦
てか、乙一どんだけジョジョ好きだよっていう。これを読んだジョジョファンの8割ぐらいは「おめーには負けたよ」な、いい試合だったぜ風の爽快感を感じてると思う。とにかく乙一のジョジョに対する妄執は異常で、それが当然のこととして作品の緻密さに変換されているのが素晴らしいと思う。例を挙げるとキリがないんだけど、たとえば蓮見琢馬の生い立ちとスタンドの性質が深く結びついてるとこなんて「ジョジョわかってんなー」って感じだし、その母の思い(最初は琢馬の生命を脅かすものだった)がクレイジーダイヤモンドの特性(更にはスタンドの本質でもある)とリンクして破壊と再生は分かちがたい同質のものであることが示されるし、またその「親の愛は子にとって不可避なものである」ことがジョジョ全体のテーマでもある「血」の継承(更には第5部以降の運命論とも繋がる)をも呼び込んでて、そしてこの2つがラストに双葉千帆の悲劇として収束されるっていう、何この伸び伸びとした完成度!ジョジョ読んで好きなだけ思考を拡げて、でもちゃんと着地はするよっていう。終章の広瀬康一と双葉千帆のくだり(父のスタンドが本体死後に密かに発動してることを暗に示しているとことか上手いよなー)とかすごく良いんだよなー。ジョジョってエピローグがどれも異常に素晴らしいんだけど(第4部以降特に)、『The Book』もそこまでとは言えないまでも、抗えない運命と個の力強い意志が突き抜けた先で寄り添ってるような、あの静寂を感じる。
「遠くへ!遠くへ行くんだ!運命も追ってこない遠くへ!」 P376より。