『ブラック・スネーク・モーン』

ブラック・スネーク・モーン スペシャル・コレクターズ・エディション;BLACK SNAKE MOAN [DVD]

ブラック・スネーク・モーン スペシャル・コレクターズ・エディション;BLACK SNAKE MOAN [DVD]


ブラック・スネーク・モーン』 監督:クレイグ・ブリュワー 出演:サミュエル・L・ジャクソン クリスティーナ・リッチ ジャスティン・ティンバーレイク


相変わらず「超面白かった」としか言えねー。これも超面白かったな。ラストらへんの「てめぇの勇気かき集めて、てめぇの人生をいきなさい」って言葉にとてもグッときた。だってそれを言った本人が言われた方と抱き合ってガクブルしてんだもんな。
まぁ、そいつがサミュエルなんだけど。(ネタバレですね…)
でそのサミュエルがリッチを監禁しようと決意した場面がまた良くてさ。(リッチにキスされビビッて家を飛び出た)サミュエルがその我が家と対峙する場面、それをサミュエルの背中越しに撮ってんだけど、それまでほのぼのとしたボロッちい家がもう悪魔の館とかモンスターハウスな不穏な感じになってんの。その前後が、恐れおののくサミュエルと何かを決意したサミュエルの正面撮りっていう。
この映画いろんな見方があると思うけど、終わらない悪夢と戦う少年と少女の物語としてすごく熱い映画だと思いました。少年がガラクタを武器に未知の世界に踏み込むように、サミュエルは神の教えとブルースを手にとり(現実の前ではそれもまたガラクタ並み)世界に立ち向かう。がくがく震えながら、少女とともに。でも本物の少年たちの物語と違って夕飯が出来る頃には終わらないもんな、それがすごく悲しかったよ。タイトルでもある「ブラック・スネーク・モーン」が歌われる場面、身を寄せ合うサミュエルとリッチは、まるで親の帰りを待つ留守を任された子供たちのようで、とても弱弱しいけれど必死に恐怖に抗っている。だけども親は帰ってこないのです。
ラストのラスト、リッチの中で鐘が鳴り響いて終わるんだけど(巧いよなー)、教会の鐘にどんな意味があるのか知らなくても、例えば少年が恐怖に支配されそうになったとき自分のヒーローの姿を思い浮かべて奮い立つそれのように、救済は己の中にあることがしっくりと伝わったと思う。