『ルパン三世 カリオストロの城』

ルパン三世 - カリオストロの城 [DVD]

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ルパン三世 カリオストロの城』 監督:宮崎駿


GW前の話になるんですが*1金曜日にカリオストロがテレビでやってたじゃないですか?そんで恥ずかしながらはじめてカリオストロじっくりと最後まで観たんです。ここ20年ぐらいジブリ映画と出会うきっかけってテレビだと思うんですけど、午後9時って小学生には眠いだろうし(今の子はわかんないけど)、11時までがっつり観れた子なんてそんなにいたのかなーって感じで一応は観たことあるけどほとんど記憶にないんですよ。多分中学生高校生の頃にもやってたと思うけどその頃になったらテレビなんてほとんど「ながら見」ですし。しかも全然忘れてたらまだいいんですけど、最初の30分はやたらと観てるんで、その30分を元にイメージが固まってるのが尚更にタチが悪いっていう。
それでなんですけど、よくテレビの特番やネットでフィーチャーされる銭形警部の名セリフがあるじゃないですか。「心を盗んでいきました」みたいな。で、映画全体ではなくそのワンシーンが取りざたされる度にそのセリフに毎度違和感を感じてたんですね。簡単に言うと「誰が上手いこと言えと」な銭形空気読めよな感じとでも言いましょうか、僕のカリオストロのイメージと銭形のセリフが不釣合いだったわけです。僕のカリオストロのイメージというのは前半30分を元に形成された偏った(かついい加減)ものであるからして、おそらくそれは他の宮崎駿映画に補完されるかたちで(例えばパズーとシータ)、ルパンとクラリスの関係をプラトニックなものであると勝手にしてしまってたのでしょう。それに対し銭形のセリフはあまりに直接的じゃないかと思ったわけなのです。
それが今回最後までじっくりと観たことでやっと腑に落ちました。クラリス思いっきりキスを求めてんじゃん!もちろんそのキスも唐突な展開ではなくて、もう前半からぐいぐいきとるで、クラリス!全編に渡ってシータよりもクラリスのほうが少女としての躍動を感じると言いますか。僕の以前のイメージでは、ルパンとクラリスが会うの最初と最後だけかなって思ってたけど、実際観てみると最初と最後だけじゃなくひっきりなしに接見してんだよね。しょっちゅう会ってんじゃんていうか、むしろルパンとクラリスのゲームに周りがつき合わされてる印象を受けてしまう。クラリス視点で見ると、束縛→解放→喪失をえんえんと繰り返してるだけの映画なんだよねコレ。どっかのブログでパズーはずっと勃起してたんじゃないかって言ってたけど、このクラリスをみるにその比ではなかったと思う。考えてもみてよ、目の前で救出にきたルパンが何回も殺されるんだぜ?何度も何度も。特に終盤の「おじさまーっ!」と叫ぶクラリスの瞳孔の開きがヤバイ。そして例のキスシーンに至るわけです。ここがすごくいい。当然のネタバレだけどルパンは結局クラリスを置いていくじゃない?でもクラリスはあきらめきれないわけよ。あんな気持ちよくさせといてそりゃないだろうと。で、せめてもの思いでキスを迫るわけですよ!もう「付き合えんのなら、せめて一発だけでも」な野郎のごとく、そのいさぎよさとなりふりかまわなさが、すごくグッとくるんだよなぁ。クラリスは言うのである「いえ、あの方は何も盗らなかったわ。」と。そう、何も。銭形のとっつぁんもただのKYなおっさんかと思ったけども、そりゃ走ってきて言うわ。当然のセリフに納得せざるをえんね。


あと余談だけど、そういえば『羊たちの沈黙』もクラリスだった。もしカリオストロクラリスがあの年でルパンに会えなかったとしたら。多分大人になってからではルパン程度じゃ異物にはなりえなかったと思う。やはりレクターほどの…って考えたら面白い。

*1:1週間遅れのGWだったので今帰ってきました。なぜ今更なそのネタ?なのはそれが理由です。