『地球が静止する日』


地球が静止する日』 監督:スコット・デリクソン 出演:キアヌ・リーブス

(ネタバレ)

ハムナプトラ3で思ったけど、ジェット・リーのドラゴン化やガイコツの両軍が合戦するスペクタクルなシーンよりも、ジェット・リーが周りの雪をツンツンの氷に変える(ホワイトアルバム!)だけの割と慎ましい超能力や、祭り用の花火を使った割と殺傷力の低そーな馬車上でのアクションシーンのほうがグッとくるんだよなあ。
地球が静止する日』でも、(予告編でもおなじみの)イナゴの襲来でダンプカーやスタジアムが消失していくシーンや、巨大宇宙人のシーンなどの映画の見せ場であろうシーンのほとんどに興奮できなくて、反対に地味めな、キアヌ・リーブスが尋問官を痙攣させて逆尋問する(尋問官の豪快なのけぞりとキアヌの無表情のマッチングが最高に楽しい)シーンや、同じくキアヌが念力(?)で自動車を横移動させて警官を押しつぶす(キアヌ無表情→車が静かに移動→警官抵抗する間も無くグェが最高に楽しい)シーンのほうが俄然に眠気吹っ飛んだよ。
キアヌの無表情なキャラクターが大きく貢献していると思うけど、どこか間延びしてるような弛緩した空間に、突如異様さがノーモーションで食い込んでくる「慎ましく違和を放つ」シーンのソリッドさがとても良いと思った。良いと思えるシーンはものすごく少なったけどさ。
あでもイナゴ襲来→物体消失での、「ガラスに細かいひび割れが広がっていく」という静かな予兆は、世界の終わりを甘く穏やかに夢想させるクールな演出だと思います。