『スティール・ボール・ラン』12巻 荒木飛呂彦


対TATOO YOU!戦。
これはスピルバーグで言うとこの『プライベート・ライアン』なのだろうか?躊躇うことのないリアル描写(血しぶきでごまかさなくなった)で死体を重ねていく。そう、西部劇の世界が死体の山を積み重ねて完成されるように、荒木先生もまた本気で男の世界を目指し始めたのだ。
この銃撃戦のオチ、「なんじゃそりゃ」と思うかもしれない。まぁ「なんじゃそりゃ」に変わりはないんだけど、この場合「なんじゃそりゃ」であるから尚いいのだ。まるで、この冷徹な世界を称えているかのようである。

冷徹な世界=男の世界を描けば描くほど、主人公たちは弱くなっていく。彼らはこの世界ではあまりにも小さい。ジャイロとジョニィがワインで乾杯するシーン。「君が泣くまで殴るのをやめない」あの日から、この荒涼とした場所にたどり着いたことをあなたはどう感じるだろうか。